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さあ、其猫の捨ててあつたのが気になつて、妻君にも相談しないで、其日の中にぷいと他へ引越して了つた。
』と銀之助は笑ひ乍ら、『実は此頃(こなひだ)或雑誌を読んだところが、其中に精神病患者のことが書いてあつた。銀之助文平の二人は丑松に導かれて暗い楼梯(はしごだん)を上つて行つた。 』と文平も相槌(あひづち)を打つた。 』と文平も尋ねて見る。机の上には例の『懴悔録』、読伏せて置いた其本に気がついたと見え、急に丑松は片隅へ押隠すやうにして、白い毛布を座蒲団がはりに出して薦(すゝ)めた。