“ 6月 - 東京証券取引所市場第一部上場。恐くは同一の書で、璧（へき）と望（ばう）との名を殊にしてゐるのは、一は是にして一は非であらう。此年十四歳の柏軒が古泉を愛するに至つたのは、恐くは懐之等が導誘したためであらう。 わたくしは此詩に由つて蘭軒自己に古泉癖が無かつたものと推する。 」柏軒の愛泉は伊沢氏に於ては未曾有の事であつたらしい。蘭軒の三子柏軒が古銭を集めることを始めた。 「自笑吾家痴子輩。以上書き畢（をは）つた時、弟潤三郎が説郛を抄して寄示した。
わたくしは蘭軒詩註の「乞児猶乞古銭」と云ふことを知らんと欲した。 ”