“ 健三にはどう考えても変としか思われなかった。健三の眼から見ると、島田の要求は不思議な位理に合わなかった。次に吉田と島田が一所に来た時の光景を思い出した。最後に彼の留守に旅先から帰ったといって、島田が一人で訪ねて来た時の言葉を思い出した。彼は最初に吉田が来た時の談話を思い出した。彼は何時までも変だと思う気分に制せられていた。彼は自分のために同じ言葉をもう一度繰り返して見た。兄も同じ意見を言葉にあらわした。 この論争は、行政への協力を引き出したい岐阜県の思惑と、大垣共立銀行と十六銀行の"面子をかけた争い"の側面も否定できない。 ”